ハサウェイの瞳に、相対するギラ・ドーガの赤が鮮やかに映る。
「もともと汎用性・拡張性に優れた傑作機だ…あのギラ・ドーガ…中身は別物と思って良いかな?」
このオデュッセウスとの模擬戦用にチューンされた試験用ジェガン…
それに乗ったコリントス隊の腕利き2人をここまで追い詰めた相手である。
いかにカタログスペックで圧倒していようと、実戦配備とは言い難い初陣のMSなのだ。
油断はしない。
赤いギラ・ドーガの随伴機2機、彼らの動きが止まったのはハサウェイにはありがたかった。
ビックス達を追撃・ラインを突破するというのであれば、この状況だ…。”止むを得ない”。
だが、幸いにもその動きは無い。
ここは赤いヤツに任せ、静観を決め込む気か?
ならばハサウェイにとって、敵は赤いギラ・ドーガ1機となる。
状況認識に彼らが要したのは1分か?10秒か?数秒だったのかもしれない。
ほぼ同時――2機のMSは同時に奔った!