「く…クククッ…くはははは!!」
薄闇のコクピット内でチンクエが突如哂い出した。
勝ったのは俺だといわんがばかりの哂い声にわずかに戸惑うハサウェイ。
2度も命のやり取りを拒否したハサウェイをチンクエが嘲笑する。
「ほんとに…舐めている…なってない…なってないぞぉ!ガンダム!!」
「負け惜しみを…」
だがチンクエは続けた。
「お前達はどこから来た!?お前達はどこへ向かっている!?あの宙域に何がある?
一切合財連れ出して!フヌケの雑魚共と我が同志達のパーティーに、遅れて参加して何になる!!」
背筋に冷たいものが流れる。ハサウェイ達は1個中隊と交戦中の警備部隊へ向かっていた。
警備部隊は1個中隊の迎撃へと出撃していた。
つまり――。
「オトリだと!?」
全く別方向からの1個中隊分の機影がコロニーに近づくのをセンサーが無情に捉える。
「間に合わんよっ!ガンダム!捕捉されていないMSをどう止める!?30バンチの報いを受けろぉ!!」
ドクン!と、全身が心臓になったように脈打った。
耳を疑う。
おぞましい歴史的虐殺事件。
その名を?
何故??
全身が凍りつく――こいつの意味するところは…!
――ガスだ!!!
「くっそぉおおおお!!」
最大全速で追うハサウェイ。バーニアが焼き切れようが構わない。
あの中隊は、1機たりともコロニーに侵入させてはいけない。
間に合え!
間に合ってくれ!!
外壁近隣で閃光が輝きだす。対空砲火による最期の抵抗。
噛み締めた唇から血が滴る。
バーニアが出力を落とし始めている。いかな最新鋭機といえど、限界というものはある。
抵抗の光が消える。
間 に合 わな い。