同人・創作@加古川 第五区域

加古川 第五区域

ガンダムSS「機動戦士ガンダム オルレアンの聖女」 No.013

絶望的な――確信。
――でもっっ!僕が!!

ハサウェイの中で、何かが弾ける。
アルゴス――それはギリシア神話に登場する魔神の名。
「お前らぁ…何でっそんなマネができるっっ!!」
絶叫とともに失速しかかっているオデュッセウスの背後、4つのコンテナが開放された。
アルゴス――それはギリシア神話に登場する魔神の名。
神々の命を受け、アルカディアで雄牛の怪物を、ペレポロネソスでエキドナを葬った魔神の名。
ジョイントから開放され、ファンネルが射出される。
爆発的な推力は20条の閃光となって到達不可能な最終防衛ラインへと攻めあがる。
メガ粒子砲の嵐が不意打ちとなって襲い掛かり、光陣と化した。

しかし――。

予期せぬ20基の”増援”は確かに中隊の足を止めた。
被弾した4機は大きく体勢を崩しはした。

「ファンネルとはな!」
グリプス戦役からの古参である。
一度視界に入れさえすれば推力だけに重きを置いた鈍重なファンネルなどただの自走砲に過ぎない。
いかに旧型・改修機の寄せ集めであるこの特殊任務班とはいえ、この程度――!何ということはない。

ファンネルが一つ閃光となって消えた。
しかもこのファンネルの制御はとても”制御されている”とは言いがたい。
被弾した寮機に止めを刺すわけでもなく、闇雲にノロノロと攻撃するだけである。

回避は容易い。我々は乗り込みさえすれば良い。ハッチを撃ち抜き、プレゼントを撃ち込めば粛清の狼煙は上がる。
”自走砲”の相手などしている暇は我々には無い。かいくぐって乗り込んでやる!
撃墜をそこそこに古参兵は外壁へと急いだ。

だが――。
アルゴス――それはギリシア神話に登場する魔神の名。
神々の命を受け、アルカディアで雄牛の怪物を、ペレポロネソスでエキドナを葬った魔神の名。

百の目を持ち、しかもそれらの目は交代で眠る為に、アルゴスは常に目覚めている。
つまり、アルゴスには時間的にも空間的にも死角が無い。

ゆえにこのシステムは、アルゴスの名を与えられた。
ファンネルのフレームが弾け飛ぶと同時に、顔を引きつらせてハサウェイは絶叫した。
「やめろぉおおおお!!!!」