同人・創作@加古川 第五区域

加古川 第五区域

ガンダムSS「機動戦士ガンダム オルレアンの聖女」 No.015

白い部屋にソファー――。
クッションを抱えたクェスと一緒にTVを見ている…。

でも僕には、TVよりもクェスを見ている方が楽しい。身を乗り出したり、ビクリとのけぞったり…。
何年経ってもクェスはクェスだ。この子供っぽい表情、仕草…。
そのくせ、真剣な顔になると妙に大人っぽい……ダメだなぁ、どうもダメだ…僕って…。

フッと照明が落ちた。
キャッと小さい悲鳴を上げたクェスが可愛くて、クスクスと笑ってしまった。

「ちょ…何よ、ちょっとビックリしただけじゃない!ハサウェイ!何か明かり持ってきてよ!」
照れてるのかな?暗闇で顔が分からない。

大丈夫だよ、すぐつくさ。
多分近くの工場の消費電力が増えたんだろうね…仕方ないことさ。
発電量が再調整されるまでのんびり待とう。

「そういうことじゃなくてぇ…変に理屈っぽいとこ、良くないよぉ」

あれ?何かちょっと涙声…。
あ…そうか、僕らは深夜ホラー映画を見てたんだ。

かすかに震えるクェスの手が、そっと僕の手に触れる。
僕は優しくその手を握り返した…。

大丈夫、怖がらなくて良いよ。ゾンビが来たって何が来たって、キミだけは僕が守るから――。
停電はいつまでたっても直らなくて…僕はジェガンのコクピットにいた…。
身体のあちこちが痛い…応急処置用のテープが足りて良かった…とりあえず窒息死は免れる……。

ジェガン…動かないな…クェス!?なんで泣いてるの?泣かないで…僕はここにいるから……。
泣かないでクェス…泣いたら、かわいい顔が台無しだよ。

…出血が酷いのかな?ちょっと意識が遠くなってくる…真っ暗だ…。

でも…ああ…温かい……。クェス…これは…キミの心の光なのか?

「ハサウェイ!!」

温かい…光…。
来てくれたのか…ありがとうクェス……また泣いて…。
ゴメンね。
キミを助けたかったのに…泣かせてばかりで…。

帰ったら、アムロにお礼言わないとなぁ…。

差し伸べられたクェスの手を、弱々しく掴んだ。
助けるはずが助けられちゃったね…。

今回は、アムロがキミを助けてくれた…でも…クェス…これからは、僕がキミを守るから…・・・。

キミだけは――僕が守るから……。