白い部屋にソファー――。
クッションを抱えたクェスと一緒にTVを見ている…。
でも僕には、TVよりもクェスを見ている方が楽しい。身を乗り出したり、ビクリとのけぞったり…。
何年経ってもクェスはクェスだ。この子供っぽい表情、仕草…。
そのくせ、真剣な顔になると妙に大人っぽい……ダメだなぁ、どうもダメだ…僕って…。
フッと照明が落ちた。
キャッと小さい悲鳴を上げたクェスが可愛くて、クスクスと笑ってしまった。
「ちょ…何よ、ちょっとビックリしただけじゃない!ハサウェイ!何か明かり持ってきてよ!」
照れてるのかな?暗闇で顔が分からない。
大丈夫だよ、すぐつくさ。
多分近くの工場の消費電力が増えたんだろうね…仕方ないことさ。
発電量が再調整されるまでのんびり待とう。
「そういうことじゃなくてぇ…変に理屈っぽいとこ、良くないよぉ」
あれ?何かちょっと涙声…。
あ…そうか、僕らは深夜ホラー映画を見てたんだ。
かすかに震えるクェスの手が、そっと僕の手に触れる。
僕は優しくその手を握り返した…。
大丈夫、怖がらなくて良いよ。ゾンビが来たって何が来たって、キミだけは僕が守るから――。
停電はいつまでたっても直らなくて…僕はジェガンのコクピットにいた…。
身体のあちこちが痛い…応急処置用のテープが足りて良かった…とりあえず窒息死は免れる……。
ジェガン…動かないな…クェス!?なんで泣いてるの?泣かないで…僕はここにいるから……。
泣かないでクェス…泣いたら、かわいい顔が台無しだよ。
…出血が酷いのかな?ちょっと意識が遠くなってくる…真っ暗だ…。
でも…ああ…温かい……。クェス…これは…キミの心の光なのか?
「ハサウェイ!!」
温かい…光…。
来てくれたのか…ありがとうクェス……また泣いて…。
ゴメンね。
キミを助けたかったのに…泣かせてばかりで…。
帰ったら、アムロにお礼言わないとなぁ…。
差し伸べられたクェスの手を、弱々しく掴んだ。
助けるはずが助けられちゃったね…。
今回は、アムロがキミを助けてくれた…でも…クェス…これからは、僕がキミを守るから…・・・。
キミだけは――僕が守るから……。