モニターに映し出される純白の機体を見つめ、チンクエは何を思うか?
データには無いガンダムタイプのMS――。
ガンダムタイプが連邦の最新技術の集大成として開発されてきた前例を考えれば、
機体性能は相当のものであることは確かであろう。
「ガンダム…連邦め、正当なる支配者の象徴のつもりか?なってないなっ!
虚像にすがってでもこの不当なる統治を…圧政をっ!正当だとほざくかっっ!!」
チンクエの眉間に深くシワが刻まれる。
ネオ・ジオンの高性能機として上げられる機体の中に、ヤクト・ドーガの名がある。
総帥専用機としてはいささか物足りないとの評であったが、その基本スペックは極めて高い。
そのベースとなった機体こそが、量産機ギラ・ドーガである。NT能力を持たないチンクエに、かさばるサイコミュの導入など不要であった。
可能な限り高機動・高出力にチューンされた赤いギラ・ドーガは、カタログスペックではヤクト・ドーガをも上回る。
だが――専用OS CAの補助をもっても敵は最新鋭のガンダム…厳しいか――。
しかし、そんな事など良くあることだ。戦力差・能力差、そんなものは戦場では言い訳に過ぎない。
「跳ね返してやるさ、グリプス以来、私はそうしてきた…」
相手が脅威であればあるほど、この男にとっての喜びは増すのだ。
――連邦の象徴を駆る者よ、お前は戦士か?